『巌窟王』24.渚にて(終)

  • :真っ当でソフトランディングな収束。それ以上でもそれ以下でもピンと来ない適正な時間経過の5年後、20歳になり過去と向き合うアルベール。背景となる世界情勢は戦争の終結、貴族社会の落日、近代の成立、とマクロなスケール感で、キャラクターたちのドラマとの重ね合せが物語の厚みを増していた。ドプレーの台詞から文字通りのカクテルパーティーエンドをやるのかと思いきや、それをしない節度も良かったな。
    エドモン・ダンテスからモンテ・クリスト伯への流転を断片的な形でしか描かず、巌窟王というミステリアスな存在を設定したことでアルベールの物語として幕を閉じられたんだろう。EDで陽光に照らされたパリの街路を歩く彼の隣、画面の左半分には影がかかっていたのが印象に残る。
    高尚なことをやろうと息みすぎず、CG見本市としての性格にも則した様式美を上手く持ち込んだシリーズだったと思う。ストーリーを牽引した伯爵のキャラクター性は言うに及ばず。